アメリカのオリーブの生産の中心地はカリフォルニア州ですが、オレゴン州やワシントン州、テキサス州など各地で生産されています。アメリカのオリーブ産業の中心というと、本来はテーブルオリーブという、オイルにするためではなく、飲み物のつまみや料理に使用するため専門に作られているオリーブでした。もっとも一般的な品種は、フランシスコ会神父によって持ち込まれたミッション種のオリーブで、マンツァニッロとセヴィッラーノがそれに続きます。この3種のどのオリーブからもある程度のオリーブオイルを製造することが出来ます。しかし、マンツァニッロとセヴィッラーノのオリーブは粒が大きくてあまり油がとれない為、あまりオイル作りには向いていません。ただ、摘み取られなかったオリーブや甘酢漬けには向かないとされるオリーブを集め、オリーブオイル生産も行われています。
変化していくアメリカのオリーブオイル事情
1980年代後半からカリフォルニアでオリーブオイル革命とも言えるような改革が始まりました。いくつかの農園がヨーロッパなどのオイルに匹敵する最高品質のオイルを作ろうと新しい品種をうえ、品種改良を始めたのです。新たに導入されたオリーブの品種は、フラントイオ、レッチーノ、ペンドリーノ、モライオーロ、タッジャスカなど、ほとんどがイタリアの品種です。オリーブの木は成長が遅い為、この時期に植えられたオリーブの木はまだたくさんの収穫が出来るほどには至っていません。しかし、近年その収穫量を増やしていっているのは確かです。新しい試みを始めたパイオニア的農園の成功はオリーブ栽培家を増やし、これまでテーブルオリーブの生産や、そのオリーブの実から安価なオリーブオイルを生産していたカリフォルニアは高級なヴァージンエクストラオリーブオイルの生産の拡大に乗り出しました。これに付随して、今までアメリカのオリーブオイルは比較的にマイルドでスイート、あまり刺激のないタイプが特徴だったのですが、イタリア産の品種の導入により、その特徴も変化していくことでしょう。
アメリカ産のおすすめオリーブオイル
・ソノーマ・エステート(SONOMA ESTATE)
生産量は非常にわずかで、店頭にはほぼ出回らないと思ってよいでしょう。ピコリーネ種はフランスのプロヴァンス原産の品種で、カリフォルニアに導入されたのは1870年代と言われています。カリフォルニア州のソノーマ渓谷の中心部にあるB.R.コーン農園にそのルーツをたどることが出来、この土地は今では「オリーブヒル」と呼ばれています。
産地…アメリカ カリフォルニア州 ソノーマ、グレンエレン
品種…ピコリーネ種
芳香…フルーティでほのかなナッツを感じる風味
味…フルーティで多少辛味を感じる味。
・スペクトラム・オーガニック(SPECTRUM ORGANIC)
スペクトラム・ナチュラルズ社によって製造される有機栽培オリーブです。
スペクトラム・ナチュラルズ社は50種類もの有機栽培の調理用オイルやビネガー、香辛料などを生産販売している会社で、有機栽培のオリーブオイルにはスペインのアルベキーナ種が80%使用され、心地よいナッツの香りのするオリーブオイルとなります。
産地…アメリカ カリフォルニア州 ペタルマ
品種…アルベキーナ種
芳香…さわやかで心地よいナッツを感じる風味。
味…フルーティでほとんど辛味のない味。
合わせる料理…野菜サラダや温野菜のドレッシングとして最適です。