サラダ油の一種である綿実油は、日本ではあまりなじみがないようですが、実はマーガリンなどの加工食品に多く使われていて、アジアの国々では、ピーナッツオイル、菜種油と共に三大食用オイルの一つです。
綿実油とは
綿実油はコットンシードオイルとも呼ばれ、綿の実の中に入っている小さな種から抽出されたオイルで、低温圧搾法で未精製のものと、高温圧搾、または溶剤抽出法で抽出されて、さらに高度精製されたものがありますが、低温圧搾未精製の綿実油はほとんど生産されなくなりました。
綿実油の特徴
綿実油は、値段も安く、くせがなく使いやすいため、加工食品、クリームのような化粧品や石鹸、潤滑剤や外食チェーンの調理用など幅広く利用されています。
料理用としては、発煙温度が高いので、揚げ物もからっと揚がり、独特の風味があります。
主成分はオメガ6脂肪酸で、特に必須脂肪酸のリノール酸が多く含まれ、血中コレステロールの低下や動脈硬化の予防に効果がありますが、過剰摂取はアレルギーなどが発症するリスクがあります。
高温抽出、溶剤抽出法を経て高度精製されれた綿実油には、脂肪酸以外の栄養素はほとんど含まれていないのですが、ビタミンE(αートコフェノール)とビタミンKが比較的多く含まれています。
ビタミンEは、若返りのビタミンといわれるほどで、体内の脂質の酸化を防いで血中の悪玉コレステロールを減少させて動脈硬化などの生活習慣病を予防し、体の中から老化を防いでアンチエイジングに役に立ちます。
またビタミンKは、健康な骨を維持するために不可欠な成分で、骨に含まれているタンパク質を活性化して骨の形成を助ける働きがあるため、骨粗しょう症の予防に効果があります。
綿実油の問題点
綿実油に多く含まれるオメガ6脂肪酸は、血中コレステロールを下げるなどポジティブな効果もありますが、過剰摂取することで血栓ができやすくなり、その結果、心臓疾患の原因となる可能性もありますし、肥満のリスクもあります。
高温抽出、溶剤抽出法を経て高度精製されれた綿実油は、その工程で不飽和脂肪酸がトランス脂肪酸へ変化しますから、過剰摂取はアレルギーなどを引き起こすリスクがあります。
また、綿実油を加工したサラダ油は、加工の工程でオメガ6脂肪酸が酸化して有害物質に変化しているという指摘があります。
綿実油に関する問題点としては、また、原料に遺伝子組み換え品種の綿が多く使用されているということが挙げられます。
綿実油の特徴と問題点を良く知って使用する
綿実油は、その製造方法の影響で問題点が多く指摘されているオイルですが、実は『サラダオイルの王様』とも呼ばれ、熱に強くてくせが無く、揚げ物がサクッと揚がったり、お菓子作りにもとても使いやすいオイルなので、高級レストランや料亭などのプロの料理人の中には、好んで綿実油を使用している人たちも多くいます。
ですから、綿実油の特徴と問題点を良く知った上で、普段は他の何種類かのオイルも使用しながら、揚げ物を作る時だけ綿実油を使用するなどの工夫をして、日常の食生活に綿実油を取り入れるのもよい方法です。
そして、出来るだけ国内で生産された綿実油を選べばより安心です。